テープ起こしライター・のりの日常

自分の日常、気になること、伝えたいことをつらつらと…

テープ起こし(文字起こし)という仕事の大変さ

テープ起こし(文字起こし)って、向き不向きがあると思います。

 

なぜなら、パッと聞いた感じでは

「簡単そう」「誰にでも出来そう」

と思われる方が多いのではないかと思うからです。

 

しかし…その印象とは裏腹に

とっても大変な仕事なのですよ!

 

今回は、僕がテープ起こしに出会ってから

テープ起こしの大変さに気づくまでを記事にしました。

 

最後までご覧いただけば嬉しいです^^

 

もくじ

 

テープ起こしとの出会い

 テープ起こしという仕事があることを知って、今日でほぼ1カ月。

今では毎日テープ起こしに関連することをして過ごしています。

 

僕は今までいくつもの仕事を経験してきましたが

要領よくパッと仕事をこなすということが苦手でした。

 

自分のペースで、自分のやり方で

じっくり物事に取り組むってことが合っていたのですね。

 

そんな中、新型コロナウイルスが流行り始め

外にもあまり自由に出歩けなくなったとき

 

「家で、自分のペースで、じっくり取り組める仕事はないかな?」

と思い、いろいろ検索をしていました。

 

その時見つけたのが「テープ起こし」でした。

 

なんかピンと来た僕は、関連のページを検索しまくって

いつの間にかたくさんの情報を集めていました。

 

僕は細かいところまでチェックしてしまうし

誤字・脱字を見つけるのも得意だったりするので

「自分に向いてるんじゃないかな?」と思ったのです。

 

しかし、そのとき僕は

 

耳が聞こえて、目が見えて、タイピングがある程度できれば

テープ起こしなんて誰にでもできるんじゃないか?

 

と思いました。なので

 

誰でもできることなら人気はあるだろうし

スキルを身に付けたとしても自分に仕事がもらえるんだろうか?

 

と、始める前から不安になりました。

 

でも、「やってみたい!」と思った自分の気持ちを大切にして

やるからにはある程度しっかり学びたいと思ったので

それほど時間をかけずに、通信講座を申し込んでみました。

 

それからまもなくしてテキストが到着。

ワクワクしながらページをめくると…

 

テープ起こしなんて誰にでも出来る仕事

 

そんな僕の考えが

ものすごい思い上がりだったことを思い知ったのです。

 

商品として納品できるクオリティ

ただ、自分が個人的に文字にするだけだったら

文字起こしって時間がかかるだけの単純作業に過ぎません。

 

しかし、文字起こしを仕事としてやろうと思ったら

自分勝手に表記してしまっては商品として納品できる形にはなりません。

 

あくまでもクライアント(お客様)の望む形に仕上げて

なるべく訂正の必要のない状態にして納品しないと

わざわざお金を出してまで依頼した意味がなくなってしまいます。

 

「あ、しまった」なんて誤字がある状態で納品してしまうと

「この人はチェックが甘いな」なんて思われて

次の仕事が依頼されにくくなるのは間違いないです。

 

表記ルールの厳格さ

自分1人で文字起こしをする分には

多少ルールがぶれていても全く問題はないでしょう。

 

しかし、実際の場面では

長時間の会議を複数の人が手分けして作業することがあります。

 

そういう時に

 

この人は「出来る」を漢字で書いているのに

この人は「できる」とひらがなで書いている

 

なんてことがあると

【表記ゆれ】という読みにくい文章になってしまいます。

 

もちろんこれは、一人で文字起こしをしているときにも

起こり得ることです。

 

長時間の作業になればなるほど

「できる」「とき」「なに」「ない」などは

漢字になったりひらがなになったりしがちです。

 

Wordの表記ゆれチェック機能なども駆使して

1つでも多くの表記ゆれをチェックして納品しないと

信頼を失ってしまうことになります。

 

作業が遅いとお金にならない

これはwebライターさんなどでも同じことだと思うのですが

文字起こしは「時間」または「文字数」と、「納期の長さ」などで

料金が変わります。

 

なので、作業に取り組む前に

この文字起こしを完成させたら報酬はいくらもらえるのか

ということは事前に分かります。

 

ということは、早く仕上げれば仕上げるほど

時給換算するとたくさんのお金がもらえるということになりますね。

 

しかし…そう簡単には行かないのです。

 

1時間の音声を奇麗に文字化するのに

プロでも5時間から6時間くらいはかかると言われています。

 

それなら、初心者はなおさらもっと時間がかかります。

 

タイピングのスピードはもちろん、誤字脱字チェック

表記の知識、フォームやレイアウトの知識などなど

 

作業に慣れていないと時間ばかりが過ぎて行き

結局納品するのに10時間かかってしまったりすることもざらにあります。

 

そうなるとベテランと比べると

もらえるお金は同じでも、かかった時間が倍なので

時間単価は半分ということになります。

 

1つだけの案件をこなすだけなら

それほど気にしなくても良いかもしれないですが

 

「文字起こしで収入を得て行きたい!」

と思っている人にとっては、たくさん数をこなす必要があるので

出来るだけ時間をかけたくないのは誰だって同じだと思います。

 

のんびり自分のペースでやっていては

本業にしても副業にしても「割に合わない」のが

テープ起こし(文字起こし)なのです。

 

現実は厳しいのです!残念ながら…

 

また、タイピングスピードはもちろんなのですが

テープ起こしは自分のやりたい案件ばかりが

舞い込んでくるわけではありません。

 

医療の話、スポーツの話、ITの話などなど…

自分が全く知らない、興味のない分野のテープ起こしは

終始、頭の中が「???」となります(笑)

 

そして、当たり前のことなのですが

「知らない単語は聞き取れない」のです。

 

いくら集中して聞いていても

 

「このさーすの企業が…」

 

と聞こえてきて

 

え、さーす?さーすってなんだ?

と、脳が一瞬フリーズします。

 

しかし、テープ起こしを生業とするプロは

そこで「わからないからいいや」と

投げ出してしまってはいけないのです!

 

可能な限り、あらゆる手段を使って

調べまくらないといけないのですね。

 

基本、パソコンで作業をするので

ネット検索が主になるとは思うのですが

 

検索エンジンを駆使して

それっぽい単語を調べて行きます。

 

ITの話題で「さーす」という発音に

近い単語はあるだろうか?すると

 

SaaS

 

という単語を発見しました!

 

意味を調べてみると話の内容にも合致している!

じゃあさっきの「さーす」は、これであってるんだ!

 

と、まるでクイズ番組を解答したかのような爽快感が得られます(笑)

 

そんなことがテープ起こしストには日常茶飯事。

なので「真面目で根気強い人」しか続けていけないのです。

 

雑音や話者の癖との格闘

録音した音声に

常に雑音が入っている場合や

話者にすごく癖がある場合にも、苦戦を強いられます。

 

話している人たちはまったく気にしていないのですが

こちらとしては

「ぷちぷちぷちぷち」「さーーーーーーっ」「がさがさがさ」など

常に耳に響くようなノイズがすっごく気になるのです。

 

しかもそれが長時間かつ

聞き取りにくい単語のところを何度も巻き戻して聞く場合

そのノイズにさらされまくることになるのです。

 

レコーダーの上に紙を置いてしまって気付いていないとか…

こっちとしては「やめてくれー!」となります。

 

また、話者が

すごく声が小さいor大きい

ぬちゃっ、べちゃっとした口の動かし方をする

舌ったらずで聞いていて個人的にイライラする

などもあって

 

これもずっと聞いていなければならないので

こういう音源に当たるとストレスMAXです(笑)

 

守秘義務がある

文字起こしは会社の議事録として残したいなどのほかに

芸能人のインタビューや、外部に漏れてはまずい会談などもあります。

 

なので、世間に出回る前に

自分だけその機密情報を知ってしまう可能性もあるのです。

 

インタビューでも、実際に記事に載らないことでも

音声の中では言っていたりすることもあります。

 

「あの会社、こんな商品開発してるらしい」とか

「あの芸能人、こんなこと言ってたのか」なんて

まだ出回っていない情報を知ってしまったら

誰かに話したくなってしまう人も多いのではないでしょうか。

 

しかし、これは完全にNGです。

 

依頼してくださる方は

「文字に起こすことのみ」を依頼しているわけで

それ以外のことで相手側にデメリットが起こるようなことは

決してしてはいけないのです。

 

自分自身が何かするわけではなくても

その話を聞いた人が自分なりに解釈して

良くない噂なんて広められてしまったら

損害賠償を請求されるかもしれません…(怖)

 

「こんな単語をこう聞き間違った」くらいなら

どこのどんな話かわからないので良いでしょうけど

 

具体的な会社名とか、内容とかを

我が物顔で言いふらしてしまってはプロ失格なのです。

 

そういう「言いたくても言えない」という

葛藤を抱えるのも仕事の内なのです。

 

最低限のビジネスマナー

ただタイピングをしていれば良いというだけではなく

人と人とのやり取りなので、しっかりした社会人としての

やり取りを求められます。

 

これはどんな仕事でも同じですよね。

 

礼儀正しい言葉遣い

納期をしっかりと守る

何かあった時にはちゃんと連絡をする

 

などなど、全て当たり前のことなのですが

これらが当たり前にできないと、仕事を依頼する側も

 

同じスキルがある人なら

やり取りを心地よくできる人がいいな

 

と、離れて行ってしまうのが人情というものです。

 

僕がテープ起こしについて調べ始めたときに

すごく心に響いた文章を見つけました。

 

(そのエピソードは、こちらの ろころぐ 様から拝借しました)

 

ブログ主様は、とてもたくさんの応募がある中で

1人だけの難関を勝ち取った経験がある方で

 

その経験から語られる

「自分が仕事を得られた秘訣」は

 

いつも相手のために一言を付けたすようにした

 

そうです。

 

単純な仕事の連絡だけではなく

「あれから、あの件はどうなりましたか?」とか

「あのように言われていましたが、最近はどうですか?」とか

「最近は暑い/寒いので、体調には気を付けてくださいね」など

 

ほんの1行でいいから

自分の気持ちを伝えるように連絡をされていたそうです。

 

採用の連絡をもらったときに

「どうして自分なのですか?」と聞いたら

「やり取りをしていて心地が良かったから」と言われた、と。

 

とっても素敵なエピソードだなと思いました。

 

僕もクライアントさんと

こんなテープ起こしが出来るようになったらいいなと思います^^

 

まとめ:テープ起こしは生半可な仕事じゃない!

今までいろいろ思いつくままに書いてきましたが

テープ起こしって、大変なんです…

 

しかし、逆を言えば

誰でも出来るわけではない、れっきとした専門職

ということでもあります。

 

やればやるほど知識が蓄積されていき

精度の高いテープ起こしが出来るようになっていく。

 

そうするとお客さまにも信頼してもらえて

継続してお仕事がいただけるようになっていく。

 

やはり、最終的には

継続と思いやりなんだなと思いました。

 

最後までご覧いただいてありがとうございました!

 

ろころぐ様のブログはこちらです。

この記事の他にも心温まる記事がたくさんありますよ^^

rocoseven.com